大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(ネ)7号 判決

ところで、被控訴人は、控訴人の担当者が既設の排水管の利用を指示したから、右事故について被控訴人の責任はないと主張し、右指示があったことは、すでに認定したとおりである。しかし、すでに認定したとおり、被控訴人が利用した既設の排水管は、一たん使用をやめていたもので、その安全性については確たる保障はないものといわざるを得ず、排水管工事について専門的知識のない控訴人の担当者が単にその利用を指示したからといって、排水設備について専門知識による判断を委ねられた被控訴人が調査もせずに利用することが是認されるものではない。しかして≪証拠≫によれば、本件の床下の排水管は、若干見え難い位置にあったとはいえ、床下で行なった他の排水管等の工事の際などに、本件の排水管を見ることができたものであり、被控訴人から派遣されて現場監督をしていた右佐藤孝作も既設の排水管を見たことが認められる。そうだとすれば、排水設備についての専門的判断を期待されている被控訴人の工事担当者としては、本件排水管が前記のようにずさんな方法で支持されていることによる危険性を察知して控訴人にこれを告げ、さらに適切な支持方法を施すべきであったのにかかわらず、その挙に出なかったものと認められるのであって、この認定を動かすべき証拠はない。それ故、被控訴人の抗弁は理由がなく、被控訴人は、請負工事の瑕疵による損害の賠償として、本件の排水管の支持方法の不良により生じた漏水事故につき損害賠償の責任を免れることはできないものである(民法六三六条、六三四条)。

(渡辺 糟谷 浅生)

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